暴露療法による治療

恐怖感に直面するこの療法は条件反射学の理屈を応用したパニック障害の治療法で、不安が誘発される状況に想像的、または体験的に身を置き、回避しないことで徐々に慣れることで、パニック障害を起こさないようにします。

例えば、広場恐怖の起こり方をこの条件反射の理屈で考えてみると、地下鉄に乗った時に激しいパニック発作を経験したとします。 次に地下鉄に乗ろうとすると、「また、パニック発作が起こるのではないか」と考え、恐ろしくなって地下鉄に乗ることをやめてしまいます。 つまり、地下鉄に乗ることは、「地下鉄に乗るとパニック発作が起こる。」といった、本来は全く関係のない2つの事柄を関連づけて体がおぼえてしまうのです。

このような状況が一回でも与えられると、条件反射が形成されてしまいます。そして、もし地下鉄のなかで再びパニック発作が起こったとすると、この誤った感覚は強化され、ますます取り除くことが困難になっていきます。こうして地下鉄に乗れなくなり、広場恐怖が固定されていくわけです。

広場恐怖治療の暴露療法は、この誤った感覚を少しずつ是正していく治療法です。 これは計画的に、恐怖感の軽い場面から恐怖感の強い場面へ段階的に直面していき、発作が起こらないことを繰り返し確認し、恐怖感を取り去る治療法です。

しかし、このように恐怖場面に直接臨むことは大変な苦痛ですから、不安や恐怖を感じるいろいろな場面を患者にあげてもらい、程度の軽い場面から強い場面に段階をつけ、治療していきます。

まずはイメージにより、恐怖場面の階層を少しずつ上げていき、もっとも強い恐怖を感じる場面まで到達します。 これがクリアできたら、つぎはイメージではなく、現実場面への暴露療法をおこないます。これは治療者が付き添って行われ、最後には一人でその場面に臨み、恐怖感が全くない状態を繰り返し体験します。

このように行動を伴う暴露療法は綿密な治療計画を立て、少しずつ恐怖感をとり除いていくため、パニック障害の治療期間は半年から一年くらいが必要です。
 

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